先週、アップルの知財に関係する米国訴訟2件の報道がありました。
1件は、VirnetX HoldingというNPE(パテントトロール)、もう1件はサムスンが相手です。
アップルは、VirnetX Holdingとの訴訟で、6億2560万ドルの損害賠償を命じる判決を受けたとのことです。
サムスンに対しては、逆に5億4800万ドルの損害賠償を得る判決です。
この訴訟、どちらも陪審員による審理です。
アップルやサムスンは数百億円の損害賠償では潰れませんが、ちょっと常識外れの金額です。このような判決に対しては、米国内でも批判の声が多数挙がっているようです。
現在、わが国でも知財戦略本部で、損害賠償額の引上げ等が検討されていますが、懲罰的3倍賠償や陪審制については、導入すべきではないでしょう。
パテントトロールなどが跋扈し、法の支配が崩れ、知財立国も実現できなくなります。
http://japan.cnet.com/news/business/35077433/
Appleは米国時間2月3日、法廷闘争で痛手を受けた。テキサス州の連邦地方裁判所の陪審がAppleに対し、特許を保有するVirnetX Holdingに6億2560万ドルの損害賠償を支払うよう命じた。陪審は、Appleが人気の高いビデオチャットサービス「FaceTime」と仮想プライベートネットワーク(VPN)でVirnetXの技術を不正に利用したと判断した。
Appleはこの評決に対して控訴する計画だと述べた。
Appleの広報担当者は電子メールで次のような声明を寄せた。「当社の従業員はこの技術を何年もかけて独自に設計しており、当社はこの知的財産を保護するために特許を取得した。今回のようなケースは、特許制度改革が早急に必要であることをあらためて強く示すものだ」
この訴訟はAppleが関連する最新の法廷闘争にすぎず、同社はこれまでも特許侵害訴訟を経験している。Appleが提訴する目的は自社製品独自の機能と考えているものを保護するためだが、VirnetXなどの企業は製品を作っておらず、主に訴訟を通じて利益を上げており、パテントトロールとして知られている。
Appleに多額の損害賠償が科せられたことは、米政府がパテントトロールを根絶するか、または少なくとも打撃を与えるには、まだ長い道のりを要することを意味するのかもしれない。
http://www.cnn.co.jp/tech/35077432.html
原告のバーネットX社は特許を他社から買い集めて保有する企業で、販売している製品は1つしかない。従業員数はわずか14人で、月5000ドルの賃貸オフィスで営業している。特許のライセンス料と、他社を特許侵害で訴えて得られる賠償金が収益だ。
同社の保有する特許は約80件あり、うち4件についてアップルから特許侵害されたと訴えていた。これらの特許は、サイエンス・アプリケーションズ・インターナショナル社から買い取ったという。
2012年、陪審はアップルの特許侵害を認めて3億6800万ドルの支払いを命じた。アップルは控訴し、控訴裁は地裁に差し戻す決定を下していた。
ところが裁判は必ずしもアップルの期待通りにはならなかった。新たな評決では「故意に」特許侵害をしたと認定され、賠償額も上積みされてしまったからだ。
アップルはバーネットXの特許を侵害しないよう、アイメッセージやフェイスタイムなどのソフトウエアをすでに刷新している。
http://japan.cnet.com/news/business/35077434/
サムスンは2015年12月14日、判決の見直しを求めて最高裁に上訴した。2012年に結審したこの訴訟は、世界で最も人気があるスマートフォンの一部の意匠を争点としたもので、最終的にサムスンは、5億4800万ドルの損害賠償をAppleに支払うよう命じられた。
最高裁がこの訴訟を見直せば、意匠の定義がより明確になり、パテントトロールが知的財産権を金儲けに利用するのが制限される可能性がある。この訴訟は、多くの法律専門家や非営利団体、ハイテク企業から注目されてきた。彼らはサムスンを支持し、最高裁に訴訟の見直しを求めるアミカス(法廷助言者)意見書を合わせて6件提出した。