本日、特許異議の申立て制度の運用(案)に関する意見募集の他に、無効審判における請求人適格に関する運用(案)に対する意見募集も始まっています。
概ね妥当な案とは思いますが、当該特許発明を実施できる設備を有するだけで、利害関係人となるとのことです。利害関係人はかなり広い概念と言えます。
なお、専用実施権者・専用使用権者については、特許権者と密接な関係を持ち、同一の利害を有していると考えられ、無効審判の請求はできないという説もあります。
この案では、専用実施権者等は、権利が無効になれば実施料等の支払を免れるため、利害関係があるという立場を取っています。
上記が、果たして妥当な考え方なのか、少々疑問も残ります。
http://www.jpo.go.jp/iken/mukoushinpan_141218.htm
平成26年改正特許法(平成26年5月14日法律第36号)により、特許無効審判、延長登録無効審判及び商標無効審判は、この法律の施行後は利害関係人に限り請求することができることとなります。
無効審判における請求人適格に関する運用(案)を作成しましたので、下記の要領で意見募集をいたします。
(1)利害関係についての審理
被請求人が利害関係について争わない場合は、利害関係について調査を行わない。
(2)利害関係人の具体例
無効審判を請求し得る利害関係人とは、特許(商標)権などの存在によって、法律上の利益や、その権利に対する法律的地位に直接の影響を受けるか、又は受ける可能性のある者をいう。
(1) 当該特許発明と同一である発明を実施している/していた者
当該登録商標と同一又は類似である商標を同一又は類似の商品等に使用している/していた者
(2) 当該特許発明を将来実施する可能性を有する者
当該登録商標と同一又は類似の商標を将来使用する可能性を有する者
ア.当該特許発明に類似する発明を実施している者
イ.当該特許発明の実施を準備している者(必要な機械や材料を購入したり、設備の建設や設計に着手しているなど)
当該登録商標と同一又は類似の商標の使用を準備している者
ウ.当該特許発明を実施できる設備を有する者
(3) 当該特許権に係る製品・方法と同種の製品・方法の製造・販売・使用等の事業を行っている者
(4) 当該登録商標により商品の出所の混同による不利益を被る可能性を有する者
(5) 当該特許権の専用実施権者、通常実施権者等
当該商標権の専用使用権者、通常使用権者等
(6) 当該特許権について訴訟関係にある/あった者又は警告を受けた者
当該商標権について訴訟関係にある/あった者又は警告を受けた者
(7) 当該特許発明に関し、特許を受ける権利を有する者
なお、上記類型(1)~(7)に該当するような場合であっても、当該特許権等について紛争の和解が成立した者については、利害関係を有するとは認められない。
(c)当該特許権に係る特許異議申立人については、特許を維持すべき旨の決
定がなされたということのみでは無効審判の請求人適格は認めず、別途、
請求人適格の有無(典型的には上記類型(1)~(7)に該当するか否か)を判
断する。