おはようございます。
ダイヤモンドオンラインに、「マイクロソフトがジャストシステムにソフトの販売差し止めを求めた背景」という記事が載っていました。一橋大学の相澤英孝教授の執筆です。
今年夏の係争をなぜ今頃、と思いましたが、ユーザインタフェースなど画面デザインを意匠法で保護すべきという提言でした。
http://diamond.jp/articles/-/62356
マイクロソフト社の通知書の基礎となっているのは、不正競争防止法である。
不正競争防止法は、「商品の形態」の模倣を不正競争とすることにより、製品の形態の保護を定めている(第2条第1項第3号)。不正競争防止法の「商品の形態」には「知覚によって認識することができる…商品の外部の…形状に結合した模様」が含まれると規定されている(第2条第4項)ので、PCや携帯端末における表示も「商品の外観」として、不正競争防止法の保護を受けることになる。なお、「商品」から電子的影像を除外する規定はなく、UIそのものを「商品」と解釈することもできる。
しかし本来、UIの表示そのものは、工業製品の意匠(デザイン)であり、意匠法によっても保護を受けるべきものである。
実は、日本の意匠法は、明治時代の意匠概念を引きずっており、もはや現代社会では十分に機能しない代物で、UIそのものの登録を否定している。
意匠登録出願数が、1982年の59,390件から2013年の31,125件へと大きく減少している事実が、意匠法の現状を端的に表している。
UIがこれほど重要視され、関連する市場の規模が飛躍的に増加しているにも関わらず、日本では旧来の意匠法の体系を維持し、UIそのものを意匠法の保護の対象に含める改正が行われないままである。不正競争防止法による保護は、意匠法による登録制度に比べると保護として不十分な側面がある。
米国では、UIそのものの日本の意匠法に相当する意匠特許(Design Patent)による保護がなされている。グローバル展開をしている日本企業は、米国においては、意匠特許を取得していかなければならない。
確かにその通りだと思います。画面デザインは物品ではないから、意匠法で保護しないというのは時代遅れでしょう。
ただ、広すぎる権利は製品開発の妨げになります。物品をまたいだ画面デザインの保護をどこまで認めるかは、時間をかけて慎重に検討する必要があります。
現実には、早急な改正は難しいと言えます。