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平成26年改正法 救済措置の拡充3

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平成26年改正で、出願審査の請求を3年以上経過した場合でも、1年以内でその理由がなくなった日から2月以内、かつ正当な理由があれば救済されるようになりました。


(出願審査の請求)

第四十八条の三

5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をすることができなかつたことについて正当な理由があるときは、その理由がなくなつた日から二月以内で同項に規定する期間の経過後一年以内に限り、出願審査の請求をすることができる。
6 前項の規定によりされた出願審査の請求は、第一項に規定する期間が満了する時に特許庁長官にされたものとみなす。
7 前三項の規定は、第二項に規定する期間内に出願審査の請求がなかつた場合に準用する。


また、193条には、みなし取り下げ後、再係属した出願を公示するため、以下の条文が追加されています。


(特許公報)
第百九十三条

四 第四十八条の三第五項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による出願審査の請求


そして、48条の3第8項には、出願審査の請求期間3年が徒過した後、正当な理由があり、出願審査の請求をすることができた場合の救済規定が設けられています。


徒過した出願の審査請求ができて、特許権が設定登録された場合には、みなし取り下げとなった旨が特許公報に掲載後、善意で当該発明の実施である事業やその準備をしている者には、無償の通常実施権が発生します。


176条の後用権と似ています。先使用権と同じく、補償金請求権にも当然対抗できます。


(出願審査の請求)

第四十八条の三

8 第五項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により特許出願について出願審査の請求をした場合において、その特許出願について特許権の設定の登録があつたときは、その特許出願が第四項(前項において準用する場合を含む。)の規定により取り下げられたものとみなされた旨が掲載された特許公報の発行後その特許出願について第五項の規定による出願審査の請求があつた旨が掲載された特許公報の発行前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。




実務上、出願審査の請求がなされず、みなし取り下げとなった場合には、特許庁内で未審査請求包袋抽出表作成という書類が作成され、それが193条2項1号で規定される特許公報に掲載されます。


特許の有料データベースでは、この未審査請求包袋抽出表作成があれば、生死情報を「死」に変更します。


今後は、死んだと思っていた出願が生に復活することもそれなりにあり得ることになります。

しかし、経過情報を信じて実施の準備等を始めた場合には、48条の3第8項の通常実施権により救済されますので、それほどの不利益はないことにはなります。


ただし、アライアンス等による仲間作りをしたい場合には、自社は法定通常実施権があるから実施できても、他社はその特許権が障害となり実施ができないというケースも考えられます。


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