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Channel: 知的財産と調査
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職務発明制度に関する調査研究委員会 調査研究報告書

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こんにちは。


3/18(火)に、「職務発明制度に関する調査研究委員会 調査研究報告書」が公開されました。

http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/kenkyukai/syokumu_hatsumei.htm


報告書だけで500ページ以上あり、まだ全体に目を通せていませんが、職務発明制度に関する調査研究委員会での議論をまとめたもののようです。


大企業の知財部さんは、職務発明の原始的法人帰属を希望する方が多く、一方で大学の教員や企業の研究者には、発明者帰属を主張する方が多いと聞いています。


製品開発に関しては、キーマンとなる発明者の貢献も無視できませんが、

企画⇒開発⇒設計⇒製造⇒広告⇒販売

という流れの中で、発明者だけ優遇するのはおかしいという意見も理解できます。


一方、大学の先生や基礎研究部門の従業員は、設備投資等を負担した大学や会社の貢献も大きいものの、美術や文学と同じで発明者がいなければ研究は成し遂げられません。製品開発に比べて発明者の貢献度が高くなります。


大学の先生の場合、アメリカのように自らの発明を元に、ベンチャービジネスを始めるケースも出てくるのでしょう。その場合に、特許を受ける権利が原始的に国立大学法人や学校法人に帰属してしまうと、教員に譲渡する手間や費用が生ずるなどの問題もあります。


こういった様々な要望に応えるには、アメリカのように法人と従業者等が個々に契約を結ぶしかありません。しかし日本では、まだ個人レベルでの契約が根付いているとは言えない状況です。


職務発明に関しては、多くの方の意見を一つに集約することは不可能で、今は棚上げすべきと感じます。


平成16年改正法である現行法は、使用者と発明者のバランスを上手く取ったものであると、私は評価しています。ですが、各企業が発明の対価の支払い方法や金額を柔軟に決められるように、もう少し文言を修正すれば、ある程度問題は解消するのではと思っています。


なお、3/24から産構審の特許制度小委員会が開催され、職務発明制度の改正が議論されます。

http://www.meti.go.jp/press/2013/03/20140320001/20140320001.html


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