こんにちは。
昨日、職務発明の他に、弁理士法改正に関する報告書も公開されています。
弁理士法改正も、2月頃改正条文が公開されると思いますが、利益相反と使命条項については、まだ議論が続いているようです。
チャイニーズウォールといっても、大きな事務所以外は物理的な障壁を設けることはなかなか難しいでしょう。
小さな事務所では、自分の担当した事件を同僚へ漏らさないことの他、ファイルのアクセス制限等をするのが、現実的な線という感じがします。
発明発掘を専権業務とすることは、確かに問題があるように思えます。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/dai5_newberisi_giji.htm
【日本弁理士会における自治等の取組】
○事務所内の情報遮断措置(チャイニーズ・ウォール)については、そもそも、同一法人・同一事務所内における秘密保持や利益相反のルールがどう在るべきかということがまずあって、その結論の一つとしてチャイニーズ・ウォール・ルールの整備というものがあるのであるから、チャイニーズ・ウォール・ルールの明確化だけではなく、利益相反防止の在り方まで遡って対応を考えなければならない。よって、チャイニーズ・ウォール・ルールがあるから利益相反の緩和をしてもよいとはならない。日弁連のルールでは、適切な利益相反防止・情報遮断措置が構築されていれば、自分が過去に担当していなかった業務については担当してもよいが、適切な遮断措置が講じられていなければ、担当してはならない、となっている。実態がないのにルールだけあればよいということではない。
○利益相反については個別の判断になると考えているが、それにできるだけ近い形で基準を定め、進めていきたいと考えている。
【弁理士制度小委員会報告書(案)】
○使命規定を設けることは了承されたが、中身については深く議論されていない。弁理士に最も求められる資質は、良い明細書を書くことである。明細書作成に限定する趣旨ではないが、弁理士が誇りを持って行うことは、産業財産権の創出にかかる部分であり、弁理士だからこそ、その業務を提供できるクオリティがあるのだと示すことができる使命規定であるべきである。その観点で、知的財産全般を使命とすると、本来弁理士が誇りを持ってやってきたことの焦点がぼやけてしまうのではないかと危惧している。
また、使命規定と業務範囲がどう関係するのかを明確にして欲しい。資格士の業務は、必要な能力担保や倫理規定があることを前提とした上で、どういった業務を行うことが、ユーザーにとって最も適切かという点で議論されるべきであり、広い使命規定があるから、業務範囲を拡大してよいということにならないよう、確認しておきたい。
○特許明細書の作成が弁理士の中心業務と言われたように聞こえるが、弁理士の業務も多岐にわたるものである。弁護士業務も多岐にわたり、訴訟業務が中心かもしれないが、それ以外の業務を専門としている弁護士もいる。弁理士も同様であり、多岐にわたる業務を行えることが、ユーザーにとってワンストップサービスに寄与するのだということを強調しておきたい。
○中小企業にとって、発明の発掘は重要な部分であり、誰に相談するかでも変わってくる。権利が取れる・取れないだけではなく、弁理士によっては権利を取得することが目的化しているが、アイデアを利活用して事業を展開することが目的なので、そういったことを念頭に研修なども行って欲しい。また、当社は東京都の知的財産総合センターを利用しているが、無料で発明発掘の相談に乗ってもらうことが多いため、発明発掘を弁理士法に位置付けるに当たっては、専権業務ではなく標榜業務として規定して欲しい。