おはようございます。
昨日、「職務発明制度に関する調査研究委員会第11回委員会」の議事概要が公開されました。
外国の職務発明制度が説明された他、職務発明を原始的に法人帰属とする案の問題点が、議論されたようです。
会社の業務として行った職務発明が、原始的に法人に帰属するとするならば、報酬を支払う根拠がなくなるように思えます。そもそも、「原始的に会社に帰属しているものに、なぜ給与外の報酬を支払わなければならないのか」と。
今は現行法を改正する時期ではないでしょう。改正は文言の微修正に留め、会社内での対価支払いルールを、より現実的なものに修正して行くことが必要ではないでしょうか。
発明者の対価を、超過利益の3%~5%と決めた裁判例は、発明者の貢献度が高い例外的な事案です。
平成16年改正法の趣旨も読み返してみましたが、現行法においては、会社の職務発明報酬規定を過去の裁判例に倣う必要はないと思われます。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/kenkyukai/syokumu_hatsumei_11gaiyou.htm
○例えば、従業者の報償請求権を法的に保障した上で、使用者が制定した「発明報償規則」を経由して決定した報償については相当な報償付与(支給)義務を履行したものと推定する又はみなすとし、他方、「発明報償規則」を経由しない場合の報償については裁判所の決定によるという規定(現行特許法第35条第5項参照)とすることも、あくまで一案ではあるものの、考えられるのではないか。
○従業者に報償請求権を認める場合の法的根拠は、法人原始帰属型よりも、従業者から使用者への権利承継を前提とする従業者原始帰属型の方が説明し易いと思われる。従業者に報償請求権を法的に保障し、推定ないしみなし効の規定を設けるのであれば、法人原始帰属型に変えることまでは必要なく、例えば、現行特許法第35条第3項を「相当の報償」等の表現を用いた条文に変えることでも十分と考えられるのではないか。
○例えば、職務発明制度を取り巻く環境の変化、職務発明制度の国際的調和、類似の法制度(職務著作制度など)との横並びといった観点から考えた場合、法人原始帰属型の立法政策を採らざるを得ないと言えるのかどうか、疑問を感じる。