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LADY GAGAの商標拒絶判例

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こんばんは。


今日の午後は出勤し、少しずつ仕事を始めています。しかし、今年は連休が長く、仕事のペースを取り戻すのに、少々時間がかかりそうです。


Kindleを使って行き帰りの電車で、商標「LADY GAGA」が商標法第3条1項3号と4条1項16号で拒絶審決となり、その審決取消訴訟でも、あっさりと拒絶が維持された判決文を読んでみました。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20131226104413.pdf


確かに、アーティストの名前は、レコード会社等の出所を表示するものではなく、書籍の題号と同じく、内容(品質)を表すものであるという、特許庁の主張にも合理性はあります。


しかし、以下のように弁理士会商標委員会が特許庁商標課へ意見書を提出しているように、諸外国に合わせて、そろそろ運用を見直しても良いのではと感じました。アーティスト名に出所表示機能があるのも一面では確かです。


http://www.jpaa.or.jp/activity/appeal/2012/28-1-19opinion.pdf

 「歌手名・音楽グループ名」よりなる商標が、著作物関連商品・役務(例えば、第9類「録音又は録画済みの記録媒体」等)を指定して商標登録出願された場合、「商品の品質」及び「役務の質」に該当するとして、商標法第3条第1項第3号で拒絶するのが、現在の運用である。
 しかしながら、上記運用は、「歌手名・音楽グループ名」を利用した商品化事業を行うに際し、商標権を利用することができない点で問題がある。このような商品化事業には、商標権という安定した権利が必須であり、「歌手名・音楽グループ名」が有名であればあるほど、保護の必要性は高い。


 各国の法制を確認してみても、「歌手名・音楽グループ名」が第9類「録音又は録画済みの記録媒体」等を指定して商標登録出願された場合に、識別力がないと判断している国は見当たらない。
 従って、現在では、諸外国で商標権を取得できる「歌手名・音楽グループ名」について、我が国では商標権を取得できない状況にあり、かかる状態が続けば、わが国の商標制度の利用に関する意欲が削がれることになろう。
 また、国外でも活躍する国内アーティストも少なくなく、わが国の産業の一つとしてその活性化を図る必要があるにも拘らず、また、国際出願制度の利用の促進が望まれているにも拘らず、「歌手名・音楽グループ名」は識別力欠如を理由に国内登録ができないために、国際出願制度を利用することができないという問題点もある。


レディガガの会社、エイト マイ ハート イン コーポレイテッドは、上告受理の申立てをして、最高裁で争うのでしょうか。事実認定に関する争いではない、このような法的な論点がある事件こそ、最高裁で争われるべき内容と思います。


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