ダイヤモンドオンラインンに、「儲からない『iPhone向け有機EL』に投資する日本企業の危うさ」という記事が載っています。
著者の主張を整理すると、有機ELは信頼性が低い、サイズや用途に自由度がない、視野角が狭い、製造歩留まりが悪い、液晶の画質に不満を抱く消費者はいない。
したがって、有機ELをプラズマと同じように市場から駆逐すべしという内容です。
http://diamond.jp/articles/-/109901
有機ELについて、筆者は連載第9回『「にわか有機ELブーム」に飛びつく電機各社の浅慮』でも懐疑的な意見を述べたが、今回はもう一歩踏み込んで、日本はむしろ有機ELを、プラズマパネルのように「過去のもの」と見なして葬り去る戦略を採るべきであることを主張したい。
むしろ、有機ELにはまだまだ課題が多く残されている。最も明るく光らせたときの輝度であるピーク輝度は、液晶の方が有機ELよりもいい。しかも、有機ELには寿命という課題が残されていて、それはある日突然光らなくなるのではなく、使っているうちに徐々に輝度が落ちていくのである。つまり、使えば使うほどピーク輝度が落ちていくのだ。
さらに問題なのは、有機ELは用途とサイズに限界があり、液晶ほど自由度がないということだ。有機ELは有機原料を使っているので温度などの環境条件に弱い。たとえば、最近であれば高級車のメーターパネルに液晶を使うといった用途があるが、寿命に難がある現在の有機ELは、車の重要な表示パネルに採用するほど安定した技術にはなっていない。
かつては、大型テレビ用パネルとして液晶よりもプラズマディスプレイのほうが優れていると言われていたし、画質もプラズマの方がいいと言われていた。しかし、液晶技術の進化でプラズマは市場から駆逐されてしまった。今、日本がなすべきことは、有機ELをプラズマと同じように市場から駆逐することではないだろうか。
今、日本のパネルメーカーに求められているのは、新しいパネル技術ではなく、もともと優れていた日本の液晶技術を世界に知らしめることではないだろうか。常に日本企業に足りないのは技術ではなく、戦略とマーケティングである。「新しいからよいもの」という従来の常識を覆すマーケティング戦略を立てることが、なによりも重要だ。
概ねその通りかもしれませんが、有機ELのメリット、薄くて軽量という利点を見逃しています。
最近、アップルが2つ折りのスマートフォンを特許出願しているというニュースもありました。
http://nge.jp/2016/12/03/post-136613
iPhoneを折りたたんでポケットに? Appleが取得した特許とは
二つ折りできるiPhone?
かつての携帯電話は2つ折りで、上部が液晶画面、下部がテンキーでした。
スマートフォンで同様の構造を実現しようすると、液晶の厚みが障害となります。
液晶ディスプレイはバックライトが必要なため、一定以上暑さが必要です。有機ELはバックライトが不要で薄型化できるため、折り畳み構造に向いています。
先日、LG電子の有機EL TVを見て、その薄さに驚きました。
http://www.lg.com/jp/oled_tv/index.html
「現在の有機ELにできて液晶にできないことはほとんどない。」というのは、事実の誤認です。
やはり、日本企業も有機ELの開発は進めるべきでしょう。