本日、メルマガ「知的財産と調査 第24号-2周年-」を発行しました。
おかげざまで、月1回発行のメルマガも第24号になり、無事2周年を迎えることができました。
当初、月2回発行も考えたのですが、無理がないように月1回として、良かったと思っています。
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平成27年10月4日
知的財産と調査
第24号
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本メールマガジンでは、
弁理士である著者が、知財に関するニュース、セミナーの情報、書籍の
紹介の他、特許調査等で役立つ実務上のテクニックをお伝えします。
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■弁理士の角田 朗です。本号もよろしくお願いします。
第24号のメニューは以下になります。
■意匠や商標の新しい検索ツール
■知財のセミナー紹介
■知財の新刊紹介
■知財に関するQ&A
■編集後記
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■意匠や商標の新しい検索ツール
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私も独立開業してから、まもなく4年になります。最近は特許調査だけでなく、
意匠や商標の調査を請け負うことも増えてきました。
先週、INPITの画像意匠公報検索支援ツール(Graphic Image Park)、特許庁の
外国特許情報サービスFOPISER 商標照会サービスという2つの検索ツールが、
リリースされました。
Graphic Image Park
https://www.graphic-image.inpit.go.jp/
Graphic Image Parkは画面デザインを自動で検索するツールです。精度が良く
ないという声も聞きますが、自動車や動物など通常の図面・写真を入力しても
適切な結果は得られません。
逆に、Windowsの操作画面などを入力すれば、携帯電話やカメラなどで使われる
画面デザインのうち、似ていると判断された意匠が出力されます。
FOPISER 商標照会サービス
https://www.foreignsearch.jpo.go.jp/noservice.htm
FOPISER商標紹介では、ロシア、台湾、OHIM(欧州)の商標を検索できます。
FOPISERは、特許庁の外郭団体ではなく、特許庁が自ら開発、運営しており、
迅速な提供が可能になったとのことです。
自分のように特許調査から始めた人間にとっては、意匠調査や商標調査は、
新鮮で興味深くもあります。
また、誤解を恐れずに言えば、特許調査をマスターした人間にとっては、
意匠や商標の調査はそれほど難しくないとも言えます。
特許調査では、調査対象と読み込む公報の技術内容を理解するのが大変です。
そして、FI/Fタームを合わせると53万件以上あります。他に、CPCやUSクラス
など外国の分類を使うこともあります。意匠分類や商標の類似群コード等は、
特許分類ほど多くはありません。
検索に必要な特許分類を決定するにも、かなりの技術的知識が必要です。
そして、分類の特徴(クセ)を踏まえて、データべスースに収録された膨大な
特許公報から、適切な内容を絞り込むには高度な検索技術が要求されます。
特許公報の読み込みに時間がかかるのは、説明を要しないでしょう。
さらに、新規性や進歩性、侵害可能性を判断するにも、法律面の他に技術的な
知識が必要です。
自分は大学、大学院、エンジニア、特許調査と、技術系の勉強・仕事を25年
以上続けていますが、特許公報や特許分類の説明を読んでも、わからない
内容にしばしば遭遇します。しかし、お客さんから依頼があれば、良く知らない
技術だからと簡単に断るわけにも行きません。
もっとも、意匠や商標の調査で難しいのは、検索や読み込みではなく類否判断
です。
自分は弁理士試験やその後の研修で、意匠や商標の類否について勉強する
機会があったため、意匠や商標の調査がそれほど難しくないと感じるのかも
しれません。
言い換えると、意匠調査や商標調査が易しいのではなく、特許調査がより
専門的で難しい仕事なのだと思っています。それゆえ、特許庁審査部やその
調査を行う登録調査機関は、技術分野ごとに組織を細分化しています。