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Channel: 知的財産と調査
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リエージュ劇場が訴訟取り下げ=ロゴ制作者は継続の意向

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東京五輪の旧ロゴマークですが、リエージュ劇場が訴訟を取り下げたそうです。なお、ロゴ作成者は訴訟を続けるとのことです。


両デザインは、そもそも色彩が異なり、「○」の使い方も全く違いますので非類似のマークです。

それに、JOC側が創作過程を公表したことで、依拠(模倣)性がないことも明らかになりました。


一部報道には、ベルギーの著作権法には依拠性の要件はないという話もありました。

しかし、ベルギーもベルの条約加盟国で、著作権登録は必要ないのですから、偶然似ていたデザインが著作権侵害になるとは考えにくいです。


日本でも、著作権法の条文に依拠という言葉はありませんが、公示の制度がないことから、判例で依拠性が要件となっています。


ところで、裁判が取下や和解で終わると、損害額が少なくなるからけしからんということを言う方もいます。しかし、紛争が早期に解決すれば、時間のコストも減るのですから、悪いことではないでしょう。判決=正義ではありません。


http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015092200133

【ブリュッセルAFP=時事】佐野研二郎氏がデザインした2020年東京五輪のエンブレムがベルギーのリエージュ劇場のロゴと酷似していると指摘された問題で、同劇場が21日、国際オリンピック委員会(IOC)を相手にエンブレムの使用差し止めを求めた訴訟を取り下げると発表した。ただし、共同で提訴したロゴ制作者のオリビエ・ドビ氏は、訴訟を継続するとしている。


 佐野氏のデザインは既に使用中止が決まり、新たな大会公式エンブレムの選考作業が始まっている。リエージュ劇場は「IOCから提出された証拠を精査した結果や、佐野氏のエンブレムが使用中止となったことから、著作権を侵害されていないと判断した」と声明を出した。一方、ドビ氏はIOCが盗作を認めない限り、どのような状況下でも和解に応じない姿勢を示した。



http://www.yomiuri.co.jp/world/20150922-OYT1T50073.html

 リエージュ(ベルギー東部)=三好益史】白紙撤回となった2020年東京五輪の大会エンブレムが、ベルギー・リエージュ劇場のロゴマークの著作権を侵害しているとして、ロゴのデザイナーと同劇場が国際オリンピック委員会(IOC)を相手取り、エンブレムの使用差し止めを求めた裁判の第1回口頭弁論が22日、リエージュの裁判所で開かれた。

 同劇場は訴えを取り下げたが、デザイナー側は「盗作であることを認めない限り争う」と主張。審理が続けば、来年2月には判決が出る見通し。

 デザイナーの弁護士は、エンブレムが白紙撤回されたことについて「理由が不明確だ」と主張した。一方、劇場側は21日に声明を出し、訴えを取り下げた理由について「IOCからの説明やエンブレムの使用中止によって著作権侵害ではないと判断した」と説明した。



それにしても、佐野さんに対するバッシング報道は異常でした。ロゴに多少似た部分があったにせよ、一部の方の「似ている、似ている」という意見をマスコミが必要以上に取り上げ、私刑を行いました。そして、佐野さんは「人間として耐えられない」という言葉を残して表舞台から去りました。


先日の安保関連法案にしても、実際には世論を二分しているのに、一部マスコミは国民の8割が反対していると報道しました。

世の中には多様な意見があり、それを尊重すべきですが、どうも日本人は極端な方向に流されやすいようです。


太平洋戦争も、当時のマスコミだけでなく、一般国民も(熱狂的に)支持していたことが明らかになっています。声の大きい一部の主張に流される国民気質が、戦争の一因になったと思えてなりません。


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