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アップル製品の販売禁止 米政府が拒否

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こんばんは。既にかなり報道されていますが、米国ITCがアップル製品の差止を認める決定が、連邦政府により拒否され、ITCでの差止は認めない結果となりました。


元々、米国特許法では侵害の場合に常に差止を認める法制度ではなく、衡平法に基づき、裁判官の裁量で差止請求を認める制度となっています。e-Bay最高裁判例では以下の4つの基準が示されました。

(1)差止めを認めなければ原告が取り返しのつかない損害を被ること
(2)法律上の救済措置(損害賠償)では原告の損害を救済するのに不適切であること
(3)原告と被告の被害バランスを考慮すると衡平法上の措置(差止め)が適切であると認められること
(4)差止めを認めても公共の利益を損なわないこと


ITCでの輸入差止は、この基準とは異なるそうですが、サムスンの標準化特許を侵害するアップル製品が米国内へ流通しても、元々標準化特許は他人へ許諾するもののため、原告のサムスンに取り返しのつかない(回復不能な)損害は発生しないと考えられます。


また、損害賠償が取れれば、標準化特許の侵害による損害は回復されます。差止が認められなかった今回の判断は異例とのことですが、それほど驚くべきものではないと思います。


http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130804/k10013526131000.html

アメリカのアップルが韓国のサムスン電子の特許を侵害しているとして、アメリカの行政機関、ITC=国際貿易委員会が一部のスマートフォンなどの販売禁止を決定したことについて、アメリカ政府は3日、これを拒否し決定を覆す異例の判断を示しました。

この問題はアップルのスマートフォンなどに使われている通信技術は、サムスンが持っている特許を侵害しているという訴えに対して、ことし6月、アメリカの行政機関ITC=国際貿易委員会が一部の特許侵害を認めたものです。
この認定に基づいて、ITCはアップルのスマートフォン「iPhone4」など一部の旧型モデルについて、アメリカへの輸入や販売を禁止することを決定し、アメリカ政府が60日以内に決定内容を審査し、判断を示すことになっていました。
これについて、アメリカ政府は3日、消費者の利益や企業の競争などに及ぼす影響などを幅広く審査し、ITCの決定を拒否することを決めました。
アメリカ政府がITCの決定を覆すのは異例のことです。



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