本日、メルマガ23号を発行しました。メルマガは月1回発行ですので、次号で丸2年となります。
今回は、特許情報の産構審、セミナー・新刊情報の他に、東京オリンピックのエンブレム問題も採り上げています。
http://archive.mag2.com/0001621127/index.html
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平成27年9月2日
知的財産と調査
第23号
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本メールマガジンでは、
弁理士である著者が、知財に関するニュース、セミナーの情報、書籍の
紹介の他、特許調査等で役立つ実務上のテクニックをお伝えします。
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■弁理士の角田 朗です。本号もよろしくお願いします。
第23号のメニューは以下になります。
■特許情報に関する産業構造審議会
■知財のセミナー紹介
■知財の新刊紹介
■知財に関するQ&A
■編集後記
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■特許情報に関する産業構造審議会
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産業構造審議会とは、経済産業省設置法第7条により設置された機関で、
経済産業大臣の諮問に応じて産業構造の改善に関する重要事項、経済及び
産業の発展に関する重要事項等を調査審議します。
そして、産業構造審議会(産構審)の下部組織として、知的財産分科会が
設けられています。
今月9/10に、第1回情報普及活用小委員会が開催されます。内容は以下のURLに
記載されていますが、特許庁が行う公的な特許情報提供サービスのあり方や
中小企業等のユーザーに特許情報をより普及活用させるための施策のあり方を
議論するとのことです。
産構審で特許情報関係が扱われるのは、おそらく初めてと思います。私も傍聴を
申し込みました。
特許調査など特許情報業務は、出願業務に比べて重要性が高くないと認識されて
いた時代もありました。しかし、現在は特許情報の重要性が増しています。
それを裏付ける審議会の開催と思います。
http://www.jpo.go.jp/torikumi/hiroba/chizai_1_johofukyu.htm
議題:討議事項
(1)本小委員会の設置について
(2)特許情報の普及活用施策の現状と課題について
内容:近年、企業の知財活動がグローバル化し、諸外国特許庁によるインター
ネットを通じた一般公衆向け特許情報サービスが一層高度化している。また、
平成27年4月から我が国特許庁が発行する特許、実用新案、意匠、商標に関する
すべての公報のインターネットでの発行を実現した。このような環境変化を踏まえ、
今後の特許庁が行う公的な特許情報提供サービスのあり方や中小企業等のユーザー
に特許情報をより普及活用させるための施策のあり方など、我が国における
特許情報の普及活用のあり方について議論を行う。
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■知財に関するQ&A
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Q:デザインが類似していれば、意匠権、商標権、著作権の侵害となりますか?
A:意匠権については、デザインの類似だけでなく、物品まで類似して初めて
侵害となります。商標権についても、マークの類似だけでなく、使用する商品・
役務(サービス)まで類似して、初めて侵害となります。
したがって、ある言葉が商標登録されても、指定商品・役務と非類似の商品等
を使用する場合には侵害とはなりません。さらに、意匠権、商標権とも業務外の
個人的な実施、使用は侵害とはなりません。
なお、意匠権や商標権については、特許庁より公報が公示されますので、
事業者は公報を調査する義務を負っています。したがって、偶然似ていた
デザインであっても、侵害となる場合があります。
一方、著作権は無方式で権利が発生します。文化庁への登録は必須ではなく、
公示手段が完備されていないため、自ら創作し他人のデザインと偶然似ていた
場合は、他人の著作権侵害とはなりません。これは、ベルギーなどベルヌ条約に
加盟している外国でも同様です。
また、通常の文字フォントなど創作性がないものは著作物性が否定されます
ので、著作権侵害の問題は生じません。
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■編集後記
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
昨日、2020年東京オリンピックのエンブレムが撤回されました。ベルギーの
劇場エンブレムとは、そもそも非類似のデザインでしたが、他に問題が噴出し、
撤回となりました。
写真の盗用は許されることではありませんが、非類似のデザインはもちろん、
上述の通り、偶然に似ているデザインを使用しても、著作権侵害にはなりません。
ベルギー劇場側は、今後も損害賠償を求めて訴訟を続けるとのことです。劇場側
の目的が何であったか、今となっては明らかですが、世の中にはこのような方も
いるということです。「炎上」など間違った世論に惑わされないよう、常に気を
付けたいと思っています。
ご感想・ご意見等、ありましたら、いつでもご連絡下さい。
(角田)
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