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第6回 知的財産分科会 議事要旨

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こんばんは。


昨日、特許庁ホームページに「第6回 知的財産分科会 議事要旨」が公開されました。


この分科会は、特許制度小委員会や営業秘密の保護・活用に関する小委員会の上位の組織のようで、企業の社長、日本知的財産協会会長、日本弁理士会の会長、大学教授等が委員となっています。

主に、職務発明制度と営業秘密保護改正の方向性について、議論がされたようです。


http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/tizai_bunkakai_06.htm

4.議事概要

各議題について事務局から報告を行い、質疑応答が行われた後、報告を踏まえ、今後の知財行政や知財制度の在り方について主に下記のとおり議論が行われた。


職務発明制度について

  • 制度の見直しによって従業者の意欲を損なうことがあってはならない。日本のイノベーション強化のため、企業と従業者の双方にとってメリットのある制度にする必要がある。制度の見直しで混乱を生じないようにガイドラインを早急に作成し、周知徹底を図る必要がある。また相談窓口等での対応も求められる。
  • 職務発明制度は社会からの注目度が非常に高い問題であり、ガイドラインは慎重に策定しなければならない。
  • 職務発明制度は国全体としてイノベーションをどう生むかという問題。ガイドライン策定にあたっては実務的観点から意見交換させていただきたい。
  • 職務発明制度を含め特許制度の目的は発明の総量を最大化させることと、技術の公開によるイノベーション促進であり、今回の改正がこれらの目的に適っているか十分検討してほしい。
  • 制度の見直しは大きな前進であると評価。今後のガイドライン策定、運用もしっかりやってほしい。
  • 職務発明も営業秘密も企業の中から生じるものという意味で根元は同じ。今後、改正した制度が根付くためには、中小企業や大学・研究機関における体制づくりのサポートが必要であり、日弁連、知財ネットとしてその準備をしていきたい。
  • インセンティブ制度を設けることと、実際に動機付けにつながることは別問題。動機付けのためには多様な工夫が必要で、職務発明制度におけるインセンティブを狭く限定することによって、効果的かつ効率的な動機付けが阻まれるようなことがあってはならない。
  • 職務発明の法人帰属化は、発明が塩漬けになる可能性もあり社会経済にとって有益とならない場合もあるため、発明者が萎縮しないような工夫が必要。

営業秘密保護について

  • 抑止力の強化は妥当。特に重要な不当利益の没収と海外重課を含め、実効性のある制度設計をお願いしたい。
  • 技術情報漏洩に対する侵害の判断はつきにくいため、非親告罪とした場合、捜査機関が侵害の判断を誤った際の危険性を認識しなければならない。米国でも営業秘密保護に関する連邦法の立法を検討中と聞くが、現行米国法では州法が管轄する。諸外国との調和では多様な意見の検討を。
  • 中小企業ではまだ特許に関する意識が薄い。営業秘密の意識付けをするにはまず特許の文化を根付かせる必要がある。その意味で特許庁の特許制度に関する啓蒙活動には感謝している。
  • 秘密漏洩対策の一つとして制度面での営業秘密保護の強化は重要であるが、秘密漏洩の一つの要因として研究者の不満があるので、研究者への納得性のある適切な処遇も重要。今後、実効性のあるガイドライン策定に期待。
  • 営業秘密について、官民が一体となって議論を進め制度を整えていただいたが、企業側の自治も重要と考えている。積み残された課題についても、今回の改正を踏まえ今後検討していく必要がある。
  • 営業秘密保護について、現在の日本は被害者側の意識が先行しているが、加害者側となる可能性もあることを考慮して冷静な制度設計が必要。
  • 大学では営業秘密に関する意識が十分とは言えないので、大学更には高校の段階から教育を徹底する必要がある。
  • 犯罪収益の没収制度は、組織的犯罪処罰法(被害者が特定できる場合は被害者に返還する)との並びを考慮して制度設計すべき。また、処罰範囲の拡大については、現場ニーズと他の犯罪類型との公平性確保の観点で検討すべき。


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