こんにちは。
6/28から3回に分けて、日経新聞が「法曹誤算」というコラムを連載していました。
要約すると、
(上)合格者増で、仕事にあぶれる弁護士もいる。宅弁、登録見送りなど。
(中)法科大学院の惨状、受験対策は予備校頼み。学生も予備試験へ流れる。
(下)即独弁護士が増え、弁護士全体の評判を落とさないよう、若手向け研修を強化している。
といった話と思います。どこかで聞いた話と似ています。
これと同じような話が、6/28付けの日経社説にも載っています。自分が司法試験受験生だったら、おそらく法科大学院コースは選ばないでしょう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO56719330Y3A620C1EA1000/
「2年後」では遅すぎる法科大学院の改革
法曹界の人材養成のあり方について、現行制度の見直しを議論していた政府の検討会議が最終提言をまとめた。
司法試験の合格者数を年間3千人程度まで増やしていく目標を撤回し、法科大学院を統廃合するために法的措置を導入することを今後の検討課題としてあげている。
司法改革の制度設計そのものに問題があったことを指摘しながら、肝心の具体的な改善策は先送りしてしまった。そんな印象がぬぐえない結論である。
10年前に千人ほどだった司法試験の合格者は、2千人程度にまで増えている。この間に弁護士の数は1.7倍になった。ところが法律にかかわる仕事の需要は、想定したほどには伸びていない。
このため弁護士になっても弁護士事務所に採用されず、仕事がない人が増えた。事務所で実際の業務を通した教育がなされないため、質の低下も危惧されている。
「身近で使いやすい司法」を実現するために法曹人口を増やす方針は間違っていないが、現実的でなくなった数値目標をいったん取り下げるのはやむを得まい。
約70校が乱立する法科大学院の統廃合を進め、全体の教育レベルを高めるのは当然の措置である。法科大学院修了生の合格率は低迷しており、昨年は25%だった。入学者数は3千人を割り、ピーク時の半分にまで減っている。
しかし提言は統廃合のための法的措置の中身や適用基準について、「新たな有識者会議のもとで2年以内に結論を出す」との内容にとどめた。これでは問題の先送りと言われてもしかたあるまい。
弁理士の場合は、仕事をしながら受験勉強をしている方が多いため、就職自体ができなくて困るというケースは多くありません。ですが、合格後に知財関係の仕事へ就けず、何年も待っている方は増えているように感じます。
弁護士や公認会計士も同じですが、専門的な仕事の場合、試験に受かっても、ある程度のレベルに達するのに、実務経験で3年から5年はかかります。規制緩和して合格者を増やしたところで、人材育成が追いつかなくなり、かえってクライアントの不利益になる場合もあります。
ただ、弁護士さんは世間の注目度が高い分、こうやって話題になるのですから、ある意味恵まれているのでしょう。
弁理士会でも日経の(下)と似ており、弁理士育成塾や新人養成研修など新人研修に力を入れることになっています。私が来週担当する会派研修「特許調査基礎」も実務経験が少ない方向けです。