こんにちは。
今日の日刊工業新聞さんのサイトに、「特許庁、特許の事前調査代行を検討-中小の出願しやすく」という記事が出ていました。
全文を見られないので詳細はわかりませんが、中小企業等について、(現在はJapioさんが行っている)出願後の審査請求前調査だけでなく、出願前調査についても、特許庁が支援する方向で検討しているようです。
やり方によっては、特許調査会社等、民間の圧迫となる可能性もあります。
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx1520131128aaad.html
経済産業省・特許庁は中小企業が特許を出願する前に類似する技術がないかどうかを調べる「先行技術調査」を請け負う支援サービスを検討する。また、こうした先行技術の調査向けに公開している既存の検索データベースに中国、韓国の特許文献の情報を加えるシステムを刷新する。政府が推し進める中小の成長戦略として、2014年度予算案に反映させる方向で詳細を詰める。
経産省・特許庁は28日に開く産業構造審議会(産構審)の第3回知的財産分科会で、成長戦略を踏まえた中小企業の知財政策の具体化案などを提示する方針。中小企業が差別化技術の特許を出願しやすい環境基盤を整備する方策として、特許庁に先行技術調査の「代行窓口」を設置する案を盛り込む。
また、特許出願件数が世界首位の中国と、自動車や電機などで競合する韓国の特許情報を検索できるよう電子図書館の刷新も提示する。さらに地域の金融機関が中小の持っている差別化技術をベースにした特許を基盤として事業化に結びつける“目利き”の役割を果たし、必要な融資につなげるためのスキームも検討する。
私もかつて、特許調査会社で、特許庁委託の中小企業等審査請求前調査を担当したことがあります。国内での審査請求の可否の他、外国出願を行うか否かの判断材料に使っているお客さんもいました。
ただ、特許庁の関係者から漏れ聞こえてくるのは、調査会社が審査請求前や早期審査の際に行ったレポートは、同一のものを漏れなく探すサーチで、進歩性のことを考えておらず、審査に使えない場合もあるという話です。
特許庁が欲しいのは、特許査定できるか否かの証拠であって、漏れのない調査結果ではありません。
対象発明と同一の文献が見つからなくても、複数文献の組合せや技術常識から、進歩性が否定される場合があるのは、言うまでもありません。
このような事情も鑑み、特許庁が自ら調査サービスを始めるのでしょうか?