裁判員の辞退が、昨年は64%に昇ったそうです。
自分は弁理士のため裁判員にはなれませんが、自営業者はもちろん、会社員でも何日も仕事を休んで裁判員になれる方が、どれだけいるのでしょうか。
このことは、制度の施行前からわかっていた話です。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151011-OYT1T50005.html
最高裁は、来年の裁判員候補者に選ばれた約23万人への通知書類を来月12日に発送する際、寺田逸郎長官自らが裁判参加を呼びかけるメッセージを同封する初の取り組みを行う。
裁判員制度のスタートから6年余りが経過し、参加を辞退する候補者の割合が年々増える中、参加意欲を高めるのが目的だ。
寺田長官の顔写真が入ったメッセージはA4判1枚。裁判員制度の意義について、「国民の様々な視点を審理に反映させられる」と強調。「審理に工夫を重ねて一般の人にもわかりやすい裁判になってきている。安心して参加してほしい」と呼びかけている。
最高裁は毎年11月頃、選挙人名簿の中から選ばれた翌年の裁判員候補者に通知書類を送付。その中から事件ごとに候補者を呼び出している。70歳以上や学生、重要な仕事がある人などは辞退できるが、辞退率は年々上昇。書面での事前辞退と、裁判所での選任手続きに出頭した際の辞退を足した辞退率は昨年、約64%に上り、制度が始まった2009年より約11ポイント上昇した。
法科大学院といい、裁判員制度といい、司法制度改革はどうも裏目に出ていると感じます。
弁理士試験制度も、短答式試験の免除を始めた翌年から、口述試験の不合格者が急増しました。短答式が6割ギリギリで免除になれば、その翌年以降は知識が合格レベル以下になってしまうためです。
その後、短答式の合格点が65%に引き上げられ、口述試験の不合格者は減りました。
来年から短答式に科目別合格点が導入されます。そもそも短答式は、必要な知識があるか確認するものなのですから、免除制度は必要なかったはずです。
短答式で7割正解できないのに、プロとして活躍できる資格を与えるのは、矛盾しているでしょう。
何のために試験を課したりその一部を免除し、なぜ裁判制度を変える必要があるのか、目的を間違えると大きなツケが残ることになります。